Twilight

白日の喧噪が薄らぎ万物がその形姿を背景に溶け込ませる日没時、 今日を振り返り、明日に思いを馳せる。
窓に明かりが灯り、会話が始まる。
明日も良い一日でありますように.......。
Stone cutter (鉱物研磨職人) Aquilax O

ブラックオパール 4.50cts.「天の川」

      2017/02/20

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ブラックオパール、枯渇?

オーストラリア ライトニングリッジ産のブラックオパールです。
最近、鉱物、特に宝石好きの人と会う時、必ずと言って良いほどブラックオパールの話が持ち上がります。話のテーマは主に「ここ数年、ブラックオパールが高くなった」といった市場価格の変動に対する半ば批判的な話題。
たしかにそうかもしれない。しかし私は国内のブラックオパール業者とはほとんど関わり合いがないので実感はありません。
国内市場はさておき、ライトニングリッジの鉱山主、彼とは10年来の付き合いですが、採掘された原石についての写真やメッセージは毎週のように着信してます。
以前、質の良い大きな原石が採れるチャンスが少なくなっている、といった言葉があったように記憶してますが、日本でことさら話題に上るほど、深刻な印象は受けていません。
ライトニングリッジのオパールに限らず、鉱物全般に共通することは、良い石が続けざまに出る時もあれば、出ない時もある。古い鉱脈が枯れれば、新たな鉱脈に行き着くまで、やはりそれ相応の年月は必要でしょう。

オパール伝説について

それよりも今日はオパールについての不幸な歴史、言い換えればオパールが不幸を招くといった迷信、反対に夢のある伝説、神話について少し書くことにします。
オパールについて多くの作家たちはその煌めきを火山や銀河、あるいは花火の閃光に喩えたりといった視覚的な感動から様々な物語を生み出し讃えてきたように思います。

記録に残っている最も古い伝説、それは古代ローマ時代。その時代、オパールは愛と希望を象徴する「神秘の母」として人々を魅了し、「貴重な宝石=precious stone」を意味するOpalusと呼ばれるに至ったとか。
ルビーの燃え盛る火のような赤、エメラルドの緑、トパーズの黄金色、サファイアの深い青、アメジストの神秘的な紫、多くの宝石が一体化したかに映る奇跡の宝石を目にした心の驚き、その煌めきは畏れにも似た感動として人々の心に刻み込まれたことでしょう。

文化や民族によって、オパールに対する神話や伝説もまた多種多様です。
ギリシャ神話では戦いに勝利したゼウスの喜びの涙と伝えられ、この宝石を持つ者は先見の明と勝利に恵まれ、病から身を守られると。
アステカでは地上の楽園の象徴として、ヨーロッパ社会では希望、純粋、真実のシンボルとして。中東アラビア圏では神の光が稲妻の閃光となって地上に落ち宝石になったと伝えられ、アジア圏のインドでは人の進むべき進路を示す虹の女神として語り継がれました。

この全ての色を持つ宝石オパール、遊色効果の妖しさ魔術的神秘性ゆえに、ある時代を境に、持つ者に災いを齎す宝石として逆境を余儀なくされた歴史を歩むことになります。
それは何故?

地球上の様々な地点、地域で発見されてきたオパール。多彩で完全無欠とも言える複雑な美を宿した宝石。しかしこの宝石は神秘的な美しさの反面、脆さという弱点を持っていました。それは産地にもよりますが、オパールは割れたり欠けたりする可能性を持った宝石であることも事実です。この弱点がオパールと対抗するある宝石ビジネスにとって格好の標的となった。

ケンカを売られたオパール

時は1849年に端を発しています。
1837年ドイツ生まれの鉱石エージェントであり地質学者として各国を転々としていた一人の男がオーストラリア南部アングストン近郊での鉱物資源調査の最中、それまで知られていた破損しやすいオパールとは異なった緻密で強健な新種のオパールを発見した。今日のブラックオパールです。発見者の名前をヨハン・メンゲという。
この発見はレポートや著作によって次第にヨーロッパに知られるようになり、さらに20年後、今日もなを不動のブラックオパールの聖地、クィーンズランド州ライトニングリッジでの継続的かつ多量の採掘へと発展した。
ヨーロッパでは大騒ぎである。その驚くべき美しさ、オパールは地球上で最も重要な宝石へとその地位を固める勢いだった。
さてオパールの挑戦を受けたのは何か?
ダイヤモンドです。
ダイヤモンドとオーストラリア・オパールとの激しい市場競争が展開されたわけです。
ダイヤモンド陣営が張った論調こそが「オパールは古来、割れやすく不幸を齎す宝石」。そういうことです。
炎のようなオパールが火災を引き起こし、割れたオパールの保有者が突然事故で死んだ、真っ二つに割れたオパールが家庭に不運を招く原因だった、などなど。まさにインターネットなど無縁時代に、いわばSNSや2チャンネル騒動よろしく実しやかに拡散され続けた、という次第です。

今日もなお、不運を招く宝石オパール伝説は払拭されたわけではなさそうですが、根拠ある話ではないことは明白です。

 

デマの不気味さ

似たようなことはいつの時代でもどの社会でも起こりうることです。デマが集団化し同じメッセージが連呼され市民権を得てしまう。私は最近この薄気味の悪い全体主義「ディストピア」ということを現実の様々な局面で感じています。

tw160715-003tw160715tw160715-002tw160715-004tw160715-006このライトニングリッジ産ブラックオパール、7月7日の七夕の夜空で今年もまた眺めることができませんでしたが、「天の川」と名付けました。石は強固で割れや欠けの心配は無用です。もちろんソリッド。

ブラックオパール 4.50cts.「天の川」カタログページへ - 完売しました。

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