Twilight

白日の喧噪が薄らぎ万物がその形姿を背景に溶け込ませる日没時、 今日を振り返り、明日に思いを馳せる。
窓に明かりが灯り、会話が始まる。
明日も良い一日でありますように.......。
Stone cutter (鉱物研磨職人) Aquilax O

ナチュラル スイスブルー トパーズ 13.00cts.

      2016/07/21

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トパーズ 日本での採掘例

東京国立国会図書館のデジタルコレクションに
『明治事物起原』(石井研堂 著 / 橋南堂 / 明治41年1月 / 522p. / 書誌ID:000000519144 / 保護期間満了)
という資料の441頁に次のような興味ある記載がありました。

 

「黄玉の始」高木勘兵衛 美濃國ゑな郡 明治十年 杉村二郎

 
縦來本邦人の寳石として珍重せしは、水晶瑪瑙等數種の普通品に過ぎず、水精と黄玉の差別を知るものとては無かりし。然るに西洋金石學の傳はるにつれ、始めて之を水晶中より區別するに至れり。

トパーズという鉱物に関する神話的な知識といえば、この宝石が紅海に浮かぶトパシオン島(現在のザバルガート島、英名セント・ジョーンズ島)で発見されたこと(実際はペリドットだったと伝えられているが)。
そしてトパシオン島という島の名前がギリシャ語のTopazos=探し求めるという意味を持っていること。
その島の周囲は霧に覆われ航海する人たちにとって島を「探し求める」ことが容易ではなかったことから、島の名前になった。
などなど、どこにでも書かれている範疇での知識でした。

さらにこの宝石の産地がブラジル、ロシア、ナイジェリア、オーストラリア、タイ、ベトナム、メキシコ、そしてアメリカといった日本以外の国名だということくらいしか知りませんでした。そのような知識より、自分にとって必要なことは硬度や鉱物としての特性、光の屈折率といった「作業上」必要不可欠なことが一般的知識より優先すると考えていたからです。
ところが明治時代、それも文語体のいかにも威厳を感じさせる文献となると、これは何だ!そんな興奮じみた興味にとらわれてしまう。読んでみるとどうやら明治の時代にトパーズがこの日本でも産出されていたようだ、そんな記述に出食わしたわけです。

ひとつのテーマについて何かを書こうと思い、偶然にもこのような原典に行き着けた時、わけもなく気持ちが高揚するものです。それを端緒にして誰もが書かなかったことが書けるかもしれない。文章力があれば素材を咀嚼し消化した上で、読むに耐え得る文章になるのでしょうが、文才乏しき身ではなかなかそうもいかない。結果的には年甲斐もなく若書き文章の域を出ないまま、ということはこれまで何度となく経験済みのことです。
それでも可能であるならばオリジナルな内容にこだわりたい。とは思っているわけです。

ところがネット上には偶然行き着けた情報だと思って興奮したのも束の間、さらに検索してみると、オリジナル性など一瞬にして消え去ってしまう、そんな二次情報が必ずと言って良いほどあるものです。この明治の文献もまたWikipediaに引用され、噛み砕いた説明がちゃんとありました。

以下、ウィキの内容から抜粋してリライトします。

明治3年、高木勘兵衛が美濃国(岐阜県)恵那郡苗木山で発見したとされるトパーズは知見の域を出ず、ベルリだった可能性もあり、トパーズ日本初発見には疑問符が残っているということ。

しかし水晶より硬度の高い石がその後も次々と発見され、高価に売れたことから高木勘兵衛は教育博物館を通してその石が黄玉(トパーズ)という貴重品だったことを知ったという。

後日談として高木はトパーズで財をなし、「トパズ勘兵衛」と呼ばれることになったとか。

これだけでは素材としては不十分だと思い、昨日、地元の図書館で様々な角度から日本とトパーズについて調べてみました。
調べた結果、明治時代、滋賀県や岐阜県は良質な原石が採掘され日本はトパーズの輸出国だったこと。
現在も品質には温度差がありますが、資料記載事項から判断して量的にはわずかですが現在も国内各地で発見されている、といったことも分かりました。

波のイメージをブルートパーズに

tw160716-005tw160716-003前置きが長くなりましたが完成したブルートパーズについて書きます。
このカット、表面はなだらかな曲面のバフトップ仕上げですが背面も曲面仕上げにして(ダブルカボッション)、裏面全体に木の葉の葉脈に似た線をデザイン化しカット。
分かりやすい表現として「木の葉の葉脈」と書きましたが、これはどうも正確ではない。
正確には石全体が発する光の煌めきをアールヌーボー的なウネるような空間、波が重なり合ったような光効果を表現したいと考えてのことです。
一本一本のカットは平面ではなく、内側を窪ませた曲線。
その狙いは表面から見た時に、内部で反射拡散する光(煌めき)に穏やかで柔らかい効果を持たせたかったに他なりません。
tw160716-002tw160716私のカットはすべて一点限り、それぞれがその時々の足跡だと思ってます。
手作業である以上、テーマ、素材、心身の状態によって、アウトカムに温度差があります。温度差があって当然です。でも、気負っているわけでもなく、どの作品にも試行錯誤としての足跡、指紋のようなものは明確に残しておきたい。そう考えてます。そこで大切なことは昨日よりも今日、今日よりも明日、といった気持ちでカットし、撮影をし、ブログを書いてます。
このウェーブ模様、自分では納得できた、そう感じてはいるのですが。
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Type:Natural Topaz

Weight:13.00ct.

Size:18.80x12.80x7.20mm

Shape:Pear(Buff Top - original cut) 

Color:Swiss Blue
Clarity:VS
     (Very slight inclusion,Inclusion Barely seen under 10x Loop.) 

Luster:Excellent

Hardness:8

Origin:Brazil (old stock)

Treatment:Unheated

Exposure to radiation : Non

 

 - その他の鉱物, ナチュラル トパーズ