Twilight

白日の喧噪が薄らぎ万物がその形姿を背景に溶け込ませる日没時、 今日を振り返り、明日に思いを馳せる。
窓に明かりが灯り、会話が始まる。
明日も良い一日でありますように.......。
Stone cutter (鉱物研磨職人) Aquilax O

fossil bees in the Dominican blue amber.

      2016/12/25

fossil bees in the Dominican blue amber.,強力な発光力を持ったドミニカのブルーアンバー、内部に昆虫の化石。定説を覆す歴史的な発見でした。(写真をクリックすると、拡大画像が別ウィンドウで開きます)

さて、今日の記事は琥珀(Amber)、とりわけブルーアンバーをコレクションされておられる方々や各国のブルーアンバー関係者にとって非常に刺激的な内容です。
冒頭の写真、これは昨夜完成したドミニカンブルーアンバーの一部を拡大撮影したものです。
すべてはご覧のとおりです。ブルーアンバー内部に蜂の化石が見えます。
これが実はブルーアンバーの世界では画期的、いや、奇跡的な出来事に他ならないのです。

ドミニカンブルーアンバーの世界でドミニカ本国の出荷市場を牛耳っているのがMr.Hermann K Dittrich.
Hermann

Mr.Hermannは私の無二の親友であり、共にBlue Amberを世界に知ってもらおうと手を握り合ったパートナーである。
彼は、20代で西ドイツから南米コロンビアに渡り、中古車のディーラーからエメラルドのブローカー、そして10数年前からドミニカ共和国でドミニカンアンバーの事業を営んでいる。
最初会った時、彼ら家族はサントドミンゴに自分たちで建てた二階建ての小屋に住み、インターネットでアンバービジネスを初めていた。
敬虔なクリスチャンである彼ら家族は、まるで家族のように私を迎えてくれた。
生まれたのは1948年、私より2ヶ月兄貴のHermannは、採掘現場から原石の輸出まで、言うなればドミニカンブルーアンバー市場の川上を受け持ち、私は原石を最高レベルに磨き上げる、つまり川下を受け持つ。この協力関係によって世界のブルーアンバー市場を一歩、また一歩と確立して来た。
その後何度となく現地に足を運ぶ度に話題となったのが、「化石入りのブルーアンバー」存在の可能性、ということだった。
彼はブルーアンバーの生成過程に火山活動が影響しているということからして、さらなる有機物の化石化はあり得ない。そう断言して来た。
それは理屈にかなっている。確かにこれまで各国のアンバーコレクター、業者からそのような報告を受けたことは皆無だった。ロンドンあるいはニューヨークのNatural History Museumであっても「化石入りブルー」はコレクションされていないと思う。
とは言えども、日々原石を手にし、原石の内部世界と対峙してきたカッターの立場からすると、必ずしも皆無とは言い切れない。可能性は否定できない。
きっと「化石入りブルー」は存在する。いや、必ず存在するに違いない。そう信じ続けて来た。

生成年代の若いコパールであれば化石入りは決して珍しくない。それらの中には紫外線ライトにかろうじて反応し、微かな青を見せるものがある。しかし肉眼で認められる強い青を蛍光発光することはない。
だがコパールにはあって、アンバーに無い、とは誰が言い切れるだろう。地球の神秘、時間の流れ、自然の力、それらは常に人間の想像力をはるかに凌駕しているではないか。
と、ここまで書いて、饒舌すぎる自分に気づいた。
昼間、撮影していた時から興奮にかられている。夕食の軽い?酒がタイピングを急がせているのかも知れない。
一息ついて、コーヒーでも淹れることにしよう。


 

さて、iTunesを立ち上げ、Evans TrioのExplorationsを聴きながら、先を進めよう。Evansの抑制された緊張感が心地よい。

そう、そもそもこの原石は一昨年の1月、ドミニカ共和国を訪れた時に買い付けたものだった。
採掘された鉱山はToca。その時点ですでに7~8年以上経っている。オールドトカということになる。
昨年夏にラフカット、今日リリースの3倍ほどの大きさで、ペンディング。なぜかそれ以上進められなかった。
それを先週再開、さらに土曜日、黒沢の滝(氷柱)を見てきてから、翌日、仕上げにかかった。
何かが違う。つまりこれまでのドミニカンとは異なった手応えを感じていた。
そして今日、ファインダーを覗き込んで息を呑んだ。180mmのマクロレンズにx2のエクステンションレンズ。顕微鏡撮影に近いセッティングだ。
ファインダーの向こうに彼ら、つまり数千万年前の蜂の姿があった。眼鏡をかけても私の目では確証が得られない。家内と息子を呼び、肉眼で確認してもらった。
ドミニカ,ブルーアンバー,fossil bees in the Dominican blue amber.(写真をクリックすると、拡大画像が別ウィンドウで開きます)

間違いない。
この瞬間、ブルーアンバーの歴史が書き換えられた。
偽らざる実感。
全身に震えが走った。
どのような偶然の重なりで、このブルーアンバーの内部に蜂達の生き生きした姿が閉じ込められたのか。
彼らだけがなぜ、火山活動の熱に消滅しなかったのか。
ポンペイの奇跡にも似た瞬間が、地球の歴史のある瞬間に、カリブの島の一点で起きた。これが目の前にある事実に他ならない。
蜂達は地面、あるいは樹木の、そしてさらに岩の割れ目に営巣していたのだろうか.........。
なぜこの原石が私の手元にやってきたのか..........。
自然の神秘、自分自身の生の不可思議さを思わずにいられない。


狭い世界の出来事かも知れない。がしかし、私にとって、これは大きな出来事だった。
前例がないだけに価格の設定が難しい。
あとは私の大切な顧客にお納めできることを願うばかりだ。
Width 28.85 mm、Length 39.96 mm、Thickness 8.05mmm 30.00カラット
全面、究極の超精密ベルベットスキン仕上げ。
大きなサイズのオリジナル画像を
→flickr にアップしました。併せてご参照ください。
ご興味をお持ちの方、ぜひご連絡下さい。


完売いたしました。ありがとうございました。

ドミニカ,ブルーアンバー,fossil bees in the Dominican blue amber.
(写真をクリックすると、拡大画像が別ウィンドウで開きます)
ドミニカ,ブルーアンバー,fossil bees in the Dominican blue amber.(写真をクリックすると、拡大画像が別ウィンドウで開きます)

下地の赤にも負けない強い発光力、ドミニカン ブルーアンバー.

(写真をクリックすると、拡大画像が別ウィンドウで開きます)



参考記事:
WIRED SCIENCE [ 50-Million-Year-Old Insect Trove Found in Indian Amber ]
NATIONAL GEOGRAPHIC - 太古の世界
ロンドン自然史博物館 コバチデータベース

 - ドミニカ La Toca, 琥珀(コハク=アンバー)