Twilight

白日の喧噪が薄らぎ万物がその形姿を背景に溶け込ませる日没時、 今日を振り返り、明日に思いを馳せる。
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明日も良い一日でありますように.......。
Stone cutter (鉱物研磨職人) Aquilax O

Aquilax#46『石のハーモニー』素材を楽しむブレスレット

      2016/12/05

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石の楽しみ

たいがいの鉱物、あるいは足元に転がっている石ころであっても、磨くとツヤツヤし、場合によっては想像以上に輝きます。

私は時々、出先や海岸で拾ってきた石ころや貝殻を磨いて穴を開け、ラバーコードに通して首にぶら下げていることがあります。昔どこそこの山で拾った石ころ、あるいはドミニカの砂浜で拾った石とアンティークのシルバービーズを合わせて・・・、それだけでも自然を共有し自分の足跡を見直すきっかけになったりするわけです。1日がなんの変哲のない一つの石によって豊かさを増すように感じられるものです。

 

それはそれ、小さな楽しみで良い。

仕事となるとそうも言ってられません。まさか裏庭で拾ってきた石ころを磨いたところで、売れないでしょうし、だいいちセールスポイントはどうすれば良いのか。

やはり上質な原石を「宝」へと変えなくてはご飯は食べられないわけです。

 

石の旨味 - シズル感

先日リリースしたジェムシリカ、写真ではなかなか伝えられず歯がゆさが残りますが、この半透明で柔らかく優しいツヤ感を持った石、これを見た人はほぼ例外なく「ジェリービーンズ」みたいと言います。小さな子供も大人も、ほぼ同じイメージに結びつけます。そして「おいしそう!!」と。

 

何年か前のことですが、ドミニカンアンバーで和菓子の食感を表現しようと考えたことがありました。

ふんわりとした柔らかな曲面の真ん中を指で押し凹ませたように掘り磨く。

透明感ある和菓子が誕生。それはコレクターの方の秘蔵モデルとして収めることになりました。

 

指先に伝わる石の感触は確かに硬いものです。

硬い石をどこまで皮膚感覚に近づけられるか。宝石であれば光り輝く艶やかな緊張感も大切ですが、このふんわりとした柔らかさもまた、私のテーマのひとつです。

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このブレスレットでは主に半透明、そしてパステル調の石をベースに選びました。

糸魚川のクレソプレーズ

ドミニカ共和国のラリマー

ミントグリーンのダマリターコイズ

スリーピングビューティーターコイズ

どれも淡いブルーから淡いグリーン、パステル調の石です。

これらを宝石レベルで磨き込む。表面は光を反射するミラーポリッシュですが、石そのものに透明感があり、しかも優しい中間色ですので、結果的に艶やかなシズル感、言って見ればそれぞれ個性と個性とが響き合い、全体に石の内部から旨味がにじみ出てきたような世界が生まれました。

 

もっともそれだけではKawaiiだけの世界。それは私のカラーではない。そこで贅沢にもウェッセルの極上スギライト、ビスビーのアズライトマラカイト、西インド諸島産リグナムバイタで全体を締めました。

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石と石とのギャップ

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言うまでもないことですが、ある雰囲気を高めるには相反するギャップというのが効果を高めることがあります。

柔らな艶やかさと相反するザラザラした、あるいは荒削りな要素。

それは野性的なハワイのラバ(溶岩)がもつテクスチャー。旨味の引き立て役です。

 

そんな様々な個性、要素を一つの世界としてまとめてくれたのが象牙の円盤ビーズ。この乳白色のラインは全体に軽やかなリズムを添えてくれます。

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最後に叩き締め、燻し、パートポリッシュした銀ビーズ。

荒削りな面の連なり、それぞれの面に叩き跡や引っ掻いた痕跡を重ねて一体化させた叩き締めの銀ビーズ。 素材は純度の高い銀です。 磨くと強い輝きを放つ銀、磨かれた銀はすべての金属の中でもっとも強く光を反射します。

であるならば、燻した塊の一部に銀固有の美しさを残したい。そんなことを考えながら、今回は光らせるところはしっかりと磨き込みました。

 

リグナムバイタという木

このブレスレットでは久しぶりにリグナムバイタ(ワシントン条約附属書Ⅱの指定木材)が復活しています。と言っても、ほとんど方にとって馴染みのない言葉だと思います。

 

今日はそれぞれの石についてはこれまで何度となく触れてきましたので、このリグナムバイタに焦点を絞ってご説明しようかと思います。この素材、Aquilaxシリーズに繰り返し登場することと思います。

 

水に沈み、金属並みに硬い

リグナムバイタ、今は消滅してしまった古いブログ記事をご存知の方は、あるいは記憶されておられることでしょう。

比重1.3、水に沈む木です。 硬く緻密、堅牢で耐久性も高く、内部から自然浸透するワックス分による潤滑性と磨耗性に優れた「木材」。 木工工具では歯が立たず、金属加工用の工具で切ったり削ったり磨いたり。

 

この素材、一昨年制作したグラスホルダーをリリースした当時、ご紹介をしたことがありました。次の写真がそのホルダーです。20点を超えるヒット作でした。

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時々お問い合わせをいただくモデルです。ただ私的には幾つかの反省点、改善点を見出しています。

重要なことはメガネのデザインによって、つる部分の太さなどが異なりますので、サイズを測っていただき、制作に着手する必要があることです。メガネのデリケートな曲線にしっかりとフィットすること。大切なメガネを守る必要性から、細部の詰めはフルオーダーでなくてはならないと考えてます。1点ごとにオンリーワン、オンリーユーでありたいと思うわけです。

さらに上質でデザイン的に優れたオリジナル金具を作りたいと考えてます。

またリグナムバイタ以外にもパイプに使われるエボニーやブライヤー材を確保しましたので、革やサテンの紐と組み合わせ、年内を目処に復活する予定です。

 

リグナムバイタの活用

今回はこのリグナムバイタを加工してビーズとブレスレットの長さを調節するパーツを作りました。

次の写真、スリーピングビューティー・ターコイズと象牙ビーズの右側がそのリグナムバイタ・ビーズです。

この素材はもっと明るい色の木材です。ところが製材後、長い年月を経ると紫外線の影響によって緑やこのビーズのように濃いチョコレート・ブラウンに自然変色します。

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ストッパーとアジャスター

恐ろしいまでに固く緻密な木材、ダイヤモンドビットが焼け切れるため、水中で冷やしながらの削孔。

加工は石よりもはるかに困難ですが、切削中、黒蜜に似た、あるいはカラメルのような甘く香ばしい匂いが漂います。

次の写真、小さく細長いパーツ、革ひもを折り返している要に使用したのが長さを調節し、腕から外れないようにロック機能を持たせたパーツです。

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革ひもを折り返し、指先で引っ張ると腕にフィットします。

実際、装着してかなり激しい動きを繰り返しましたが、煩わしいズレもなく、まして脱着する可能性はまったく感じられませんでした。

このパーツは3mm以上の革ひもの場合、これからも積極的に導入していきます。純チタンパーツなども採用して、金属アレルギーの方にも使用していただけるジュエリーも計画中です。

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ご参考までに次の写真は加工前のリグナムバイタ材です。

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シンプル&ナチュラル

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自然から与えられた素材、その純粋な力と儚い美しさ。それらを組み合わせ、協調させることによって生まれる新鮮なイメージ。

この路線、これからも試行錯誤を重ね継続します。

「Aquilaxのシリーズ、サインの入った刻印など、ぜひご検討ください。」

お客様の励ましとも受け止められるご提案。ありがとうございました。

「検討します!!」

 

それぞれの石の名前(追記更新-10/07)

使用したパーツの名前
  • A:ハワイマウイ島産ラバ(溶岩)
  • B:995シルバー叩き締め燻し磨き出し
  • C:糸魚川産クリソプレーズ
  • D:南アフリカ連邦ウェッセル鉱山産スギライト

  • E:ドミニカ共和国産ラリマー
  • F:タイ王国産本象牙
  • G:アリゾナビスビー産アズライトマラカイト
  • H:995シルバー叩き締め燻し磨き出し
  • J:ネバダ産ダマリターコイズ
  • K:アリゾナ産スリーピングビューティーターコイズ
  • L:西インド諸島産リグナムバイタ(古材)
  • M:ハワイマウイ島産ラバ(溶岩)

お詫び

初出記事の中で「アフガニスタン産ラピスラズリ」の記載がありましたが、記載ミスでした。 お詫び申し上げます。 (小畑彰)

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