Twilight

白日の喧噪が薄らぎ万物がその形姿を背景に溶け込ませる日没時、 今日を振り返り、明日に思いを馳せる。
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Stone cutter (鉱物研磨職人) Aquilax O

Aquilax Glass Holder #33

      2016/12/05

Aquilax 眼鏡ホルダー#33 全体画像

工芸用のブライヤーとは

グラスホルダーを作る時、これまでは濃い緑黒色のリグナムバイタを常用してましたが、今回は杢目が美しいブライヤー(=ブライアー=briar)の一級材を使用しました。

 

このブライヤーという木、日本ではその生育した樹勢に触れることはできません。

私もこれまで現物を見たことはなく、資料からの受け売りになりますが、おおよそ次のような樹木だということです。

生育は極めて遅く、成長しても高さは1~3m程。一般にはホワイト・ヒース(White Heath)と呼ばれるツツジ科の潅木で、主に地中海沿岸地域に分布する。学名をエリカ・アルボレア(Erica Arborea)というのが各資料に共通した概略です。

 

この木からは大きな製材を得ることはできません。 特に今回使用した瘤材(burl:バール)は、一般に外側が不規則な凹凸で覆われているために、芯となるパートは極めて少なく、希少かつ高価です。

 

ブライヤーで思い浮かぶのはパイプや万年筆です。

my briar pipe

材質の緻密性、堅牢性、杢目の美しさということから、幹よりも根の部分(=ブライアルート=briarroot)が良材として好まれます。

そして高級パイプなどの欠かせないのが根の瘤(burl:バール)。

土中から掘り出されたブライヤーの瘤は 小石や砂を噛んだり虫食いやひび割れが多く、不格好に歪み異次元からやってきた奇妙な物体、といった感じです。 内部に美しく繊細な杢目で埋め尽くされた艶やかな木肌が宿されているとは想像することさえ難しい風体。

石であれば、原石から内部の構造はほぼ読み取ることは可能ですが、木の根瘤の場合、外観から内部を予測するのは困難です(私の場合です)。

 

木材を扱う際、非常に大切なのは「寝かせ」。木材にもオパールや琥珀同様、長い寝かせの期間が必要です。 精密な加工を要する場合、それぞれの目的に応じた管理、処理を経た素材でなくてはなりません。

私が選んだ素材は40年以上の樹齢を持ち、20年以上寝かせ、パイプ用の木片(エボーション)に裁断され,釜で煮立て樹脂や樹液を取り除き、十分乾燥されたものです。

 

余談ですが、パイプの中でも王座に君臨するPre-Trans(1960年以前)時代のBarlingというメーカが使用していた木は100年以上200年未満という樹齢のブライヤー、少なくとも50年間は寝かしてから裁断、煮立てをするそうです。

 

オイル拭きは芥子油

入手したブライヤーの木片(エボーション)を採寸して裁断。そこからはほとんど石と同様の行程でカット研磨し、メガネのツルを通す穴あけをします。

 

磨き行程を経て、芥子オイル(=ポピーオイル)拭きを繰り返し、十分な乾燥の後、乾いた布で磨きこみます。ニスや樹脂といったものは一切用いません。

ポピーオイルは高品質な油絵の具「マツダスーパー」で用いられているものと同等品を選択。人体に優しく黄変しにくいというのが選択の理由です。

 

最後は素材感を損なわない範囲で軽く蜜蝋磨き。

ピカピカ、ツヤツヤは好むところではなく、素朴さを残しながらも質実剛健な趣があり、シェイプから漂う雰囲気、掌に包んだときに感じられる柔らかな感触を優先して、蜜蝋は最小限に留めております。汚れは柔らかい布などで軽く落としてください。使い込む年月によりさらに美しい木肌になることでしょう。

木材にも石と同じ可能性が

地球上には約8,000とも言われる有用樹木があるそうです。そのうちのなんと4分の1強の2,200種が我が国に生育しているわけで、日本は緑に恵まれた樹木の王国と言えます。

大きく枝を茂らせた大木には豊穣な豊かさ。古代社会では天空と地とをつなぐ宇宙軸と考えられていました。御神木という考えはここから生まれたものでしょう。

 

木にまつわる文化的、生態学的な記述がWiKiにも詳しく記載されています。興味深い箇所を引用しました。

 

進化的意味

木は陸上植物のみに見られる植物の形である。水中の植物にもコンブのように大きくなるものはあるが、それらは柔軟で細長い構造をしており、幹のような構造を持たない。これは、水中では体を支える必要がないこと、逆に陸上ではそれを支える仕組みなしには生存できないことによる。陸上生活を行うために、植物は空気中で広げられる葉や、それを支える茎、それに体を固定し保持し、水を吸い上げる根を発達させた。

出典:Wikipedia

 

書籍では『葉っぱで見わけ五感で楽しむ 樹木図鑑』というのがあります。普段何気なく見過ごしてきた日常のなかの木々に親しめるきっかけにもなる良書です。

*書籍リンクはアフェリエイト(=アソシエイト)ではありません。

 

地球上で最も重く緻密な木材として知られてきたリグナムバイタに端を発しての木の活用。今回のブライヤー以外にも花梨、ゴールドフィルド、ブビンガ、ボグオークなど、珍しく美しい素材にチャレンジしています。

ビーズとして、あるいは金属をベースに石と木とのインレイなどへ発展できたらと考えております。

表現素材としての可能性は、石も金属も木も共に等価だと思うわけです。

Aquilax – Glass Holder #033

前置きが甚だ長くなりました。

今日リリースの

『Aquilax 眼鏡ホルダー#33』です。

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概要

  1. コア:ブライヤーの根瘤材(ブライアルート=briarroot)を使用 – 芥子オイル浸潤後、蜜蝋磨き仕上げ
  2. エンドパーツ:ジェムグレード・アフガニスタン産ラピスラズリ。
  3. .999シルバー叩き締め、燻し仕上げパーツ
  4. アンティークブラスを溶かして鋳鍛造
  5. 最高級山羊革ステッチ ソフトコード ブラック 直径5.2mm
  6. 装着サイズ62cm
  7. 1点限り

Aquilax-Glass Holder #033 Workページへ - 完売しました。

 

 

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