Twilight

白日の喧噪が薄らぎ万物がその形姿を背景に溶け込ませる日没時、 今日を振り返り、明日に思いを馳せる。
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Stone cutter (鉱物研磨職人) Aquilax O

エジプト・ターコイズ 21.90ct.

      2016/12/12

Egyptian Natural Turquoise21.90ct

最古の歴史 - シナイ・ターコイズ

ターコイズの歴史はシナイから

シナイ半島。ここがターコイズと人類との歴史が始まった地点、すべてはここから始まった。

 

北は地中海、南は紅海、東はアカバ湾、西はスエズ湾にそれぞれ面し、先端はムハンマド岬、南部にはモーセが神から十戒を授かったとされるシナイ山(Jabal Al Lawz ヤベル・エル-ローズ 標高2,580m)が聳える逆三角形の半島。面積の多くは乾燥した砂漠。エジプト文明が誕生し覇権を広げた場所として、さらにキリスト教文化においても歴史、宗教、文化的にも重要な地点です。

シナイ半島

Abstract vector color map of Sinai Peninsula

画像出典元:123RFVector - Abstract vector color map of Sinai Peninsula

 

キリスト誕生の数千年前、エジプトの王者たちは「聖なる青」を身につけていた。青い石は厄災から身を守ると信じられていたという。その証はピラミッドに副葬された多くのジュエリーによりあきらかです。「聖なる青」はほぼ例外なく黄金で飾られ、死者の傍に注意深く葬られていた。

 

ターコイズを語る上で、シナイの「聖なる青」を除外して語るわけにはいかない。なぜならばターコイズのすべての歴史はここから始まったからだ。

一般にイランがターコイズ最古の採掘地点として語られることが多い。坑道を穿ち、組織的に管理されたある程度の規模を備えた鉱業としての歴史はイランからだった。イランで採掘されたこの青い石はトルコの交易港を経由して西欧社会へ運び出され、トルコからやって来た石=トルコ石として広く知られ現在に至っている、ということは周知のとおりである。

一方、シナイ半島では採掘というよりは、はるかに原初的な採集あるいは規模の限られた坑道からもたらされたターコイズだったと考えられる。古代エジプト文明において、交易品として「聖なる青」が流通していたという記録には巡り合っていない。しかも歴史年表を取り出すまでもなく、エジプト文化はイラン文化より遥かに古い歴史を持っている。シナイの「聖なる青」が世界最古、ターコイズ文化発祥の地と語られる所以である。

 

エジプトターコイズの産地はエジプトではない

いくつかの資料を照らし合わせて知ったことだが、古代、シナイとターコイズとの関連は深く、シナイ半島はターコイズの国とも呼ばれていた。

鉱脈=坑道は半島の南西部に特定され、集中していた。

しかしここでのターコイズ採掘の歴史はエジプト文明の終焉とともに影を潜め、やがて紫やグリーンが複雑に溶け込んだ独特の青、インクブルーやインディゴなどの階調を持った青は絶対数も限られ(現在も同様)、イランの青とは異なった貴重な石として脚光を浴びるのだが、それらはネイティブのベドウィンによる乱掘で枯渇。長い歴史の中で忘れられたターコイズとしての運命を担うことになる。

 

シナイのターコイズが再び市場に現れたのはそう古いことではない。せいぜい100年ほど前のこと。それでもごく近年まではアメリカ、中国、イランから押し寄せる大量のターコイズに圧殺されるかのごとく、ヨーロッパ以外では一般に知られることも市場で注目を集めるということもなかった。

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写真をごらんください。見ての通り、非常に質の高い美しいターコイズです。実際にこの石を加工しての実感はアメリカのコレクターズモデルに比肩する、あるいはより以上の質の高さを持っています。

 

お気付きの方もおられるかもしれません。私は今日のブログで「エジプト・ターコイズ」とは書いていません。

シナイ産のターコイズとしか。

しかしシナイ半島の大半はサウジアラビア。エジプトではありません。しかしそこで採掘されたターコイズはいつの頃からか「エジプト・ターコイズ」と呼ばれています。

エジプトの王者たちが身に着けていたという神話的な魅力を絡めてのことなのか、それとも近年、サウジアラビア産ターコイズの多くが、エジプトの業者によって輸出されていることに所以があるのか定かではないのですが・・・。それはイラン・ターコイズがトルコ・ターコイズと呼ばれたように・・・。

それはそれで良いでしょう。政治的、文化的に馴染みのある地名を冠すことによって、広く知られることが悪いこととは思わないからです。私もこれまでいくつかのシナイ・ターコイズをエジプト・ターコイズと記してきました。今後も変わりません。しかしその由来、歴史を鮮明にしておくべきというのが、今日のブログ記事の趣旨でもあるわけです。

 

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インクブルーにコバルト系ブルーを溶かしこんだような深い青

以上の写真は晴天時午後3時前後、潅木から漏れる薄日を光源として撮影したものです。石の持つ透明感が光に応じて微妙に青の色相、明度を変化させてくれます。懐の深い神秘的な青というのが強く印象に残りました。

 

インクブルーにコバルト系ブルーを溶かしこんだような独特の青、この青は例えばランダーブルーの青と比べると、明らかに血筋というか家系が異なることが明白です。比較のために2plus1トップページ中段のギャラリー欄に並べてみました。

この21.90カラットの「エジプト・ターコイズ」は私のサイトの足跡の一つとして、すでにギャラリー入りを果たすことにしました。

 

この青と全体にバランス良く分布・配置されたバーストレッドのウェブ、これをネバダのどこそこの石と似たといった説明は石本来の素性をお伝えするには不毛です。シナイのターコイズはシナイ独自の素性を持ち、カラーを持ち、構図を備えています。イランでもなければアメリカンでもない、レッドウェブの「エジプト・ターコイズ」、先日のブライヤーにも合い通じる質実剛健な品格を感じるというのも、実際に眺め手にして加工した私の感慨です。

世界中に数多く存在するターコイズ鉱山ですが、そのいずれとも異なった、鮮明な主張を備えたターコイズだと思います。

類似のエジプト・ターコイズは時折見かけます。しかしミラーポリッシュ、多分他には無いことと思います。少なくとも私はまだ目にしたことはありません。→Egyptian Turquoise on Google

 

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 - エジプト, ターコイズ=トルコ石