Twilight

白日の喧噪が薄らぎ万物がその形姿を背景に溶け込ませる日没時、 今日を振り返り、明日に思いを馳せる。
窓に明かりが灯り、会話が始まる。
明日も良い一日でありますように.......。
Stone cutter (鉱物研磨職人) Aquilax O

素材との出会い

      2017/07/10

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(上写真:11月から取り扱いを開始した革紐、コルクコード類)

 

現場で学ぶ

この仕事に着手してからというもの、その大半を石、石、石で過ごしてきました。

メールや電話でのやり取りでは痒いところに手が届かず、可能な限り現地に赴き、業者と合い、採掘現場に足を運び、鉱夫と一緒に坑道で時を共有する。岩石の中に目指す原石を発見し、それが取り出された瞬間、私は薄暗がりの坑道に木霊する鉱夫の嬉々とした奇声、重いハンマーを振り回し、喜ぶ姿に美を感じた。

 

そのようなフィールドワークは鉱山以外にも、タイ北部の山岳民族、カレン族(モン族)の村にも及んだ。

買い付け資金を懐に、村で夜を明かすことは危険だという現地案内人の忠告を受け入れ、チェンマイと村とを日々往復。

そこで目にした光景は1世紀いやそれ以上の時間的な隔たりの中で淡々と銀に向かう人々の姿。彼らも銀を溶かし、叩き、接合し、刻印し、一つ一つの形を正確な手の動き、体のリズムから生み出していく。モノを作ることの意味、原点を私はその現場で学んだような気がする。

彼らに共通すること。それは気負いもなく衒いもない。自然な時間の流れ。モノを探し出し、あるいは生み出す喜びが、寡黙な表情の奥に脈打っているということでした。

 

行かなくては知り得ないこと、行かなくては得られない素材との出会い、行かなくては得られない感動が、そこには必ずあるわけです。

 

木材の強靭さ

3年ほど前から木の強靭さ、生命の痕跡に興味を持ち、モルダバイトに注目。作品に取り込んできた。

なぜモルダバイトだったのかは定かではない。それまで聞いたことのない木、ということに興味を惹かれてのことだったように記憶している。

地球上で最も重い木、水に沈むというのも驚きだった。

 

幸か不幸か、入手したモルダバイトはとんでもない代物だった。 とにかく硬い。それまで木に対して抱いていた経験値とは大凡かけ離れた加工の困難な素材。それもそのはずだ。このモルちゃん、地中に埋もれ、半化石化が進んでいたもの。鉱物と樹木との中間位位置する珪化木に等しい。

 

確かに木材には多種多様な樹種が存在する。私の場合、その多様な種類の中から杢目が美しく、粘りがあって、精密な加工、金属加工にも近しい精度を満たすものを探し求めている。

いかに美しく珍しい樹種であっても、穴あけ加工に適さない、あるいは石や金属、革との相性が悪いものは手に負えない。

以下、先日、眼鏡ホルダーで使用したブライヤー以外に、現在準備し、加工に着手している樹種の一部です。

写真上から順に、

ゴールド フィルド バールの根瘤、花梨の根瘤、アイリッシュ ボグ オーク。

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ゴールド フィルド バールは高級筆記具やロールスロイスの特注モデルなどの内装の一部に使用されることで有名な超高級材。

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瘤杢の出た極上の花梨材

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アイリッシュ ボグ オークは泥沼地に数百年から1,000年以上無酸素状態で埋もれ、炭化が進んだもの。

 

 

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