Twilight

白日の喧噪が薄らぎ万物がその形姿を背景に溶け込ませる日没時、 今日を振り返り、明日に思いを馳せる。
窓に明かりが灯り、会話が始まる。
明日も良い一日でありますように.......。
Stone cutter (鉱物研磨職人) Aquilax O

Aquilax #53 Gel スギライト ミニマム ネックレス

      2016/12/19

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日本文化と紫との深い関係

日本人は「むらさき」という色を大切にしてきた世界でも稀な国民です。

ちょっと堅い話ですが、古来、宗派を問うことなく高徳の僧、尼が紫の法衣や袈裟を朝廷から賜った、というのはよく知られたこと。ところが紫を高貴な色と定めたのは仏教ではなく、道教であったが、日本では道教が正式には受け入れらなかったことから、道教に倣って「認められていた」というのが実際のようです。

 

次もちょっと専門的な分野の話になりますが、「オオムラサキ=大紫=Sasakia charonda」という蝶があります。タテハチョウ科の比較的大型の蝶に属し、羽を広げると10cm以上。

この蝶、昭和31年(1956年)に記念切手として発行され、翌年、日本昆虫学会で国蝶に選定されています。国蝶といっても、法律や条例で保護されたわけではありません。

華麗な翅模様、キビキビと力強く飛翔する姿が堂々と勇ましく、また国内に広く分布していることが選定の理由とされています。この蝶、雄は縄張り意識が強く、相手がスズメバチであっても勇敢に立ち向かう、というから驚きです。

 

しかしオオムラサキというにはどうもしっくりいかない。以前のブログで書いたことがありましたが、私は子供のころかなり熱狂的な昆虫少年でした。当時この蝶がなぜ「オオムラサキ」なのか不思議でなりませんでした。

疑問の理由はその色です。 昆虫図鑑、標本専門店(渋谷から青山に向かう坂の左側にありました)や博物館で見ると、それはどうしてもムラサキとは見えない。

現在はネットでググればたちどころに鮮明な画像を見ることができます。それはどう見てもムラサキより「青」に見えます。

 

やはり子供の頃の話ですが、普及始めた家庭用テレビから流れるCMにも疑問符を投げかけたものです。 ご存知の方もいらっしゃるかと思います。

「何はなくとも桃屋の江戸むらさき」 これも瓶の中身は「むらさき」ではなく、どちらかと言えば「黒」。

日本料理につきものの醤油、白磁の小皿に楚々と注がれるのも「むらさき」です。

 

国、文化によって異なる紫に対する認識

以前、ドミニカ共和国でこんなこともありました。詳しく記すと大変ですので、大雑把な話になりますが、私がドミニカンブルーアンバーのカラーバリエーションについて現地のディーラにパープル系の蛍光発光について質問した際、母国がドイツの彼は、パープルというのは無い、あるのはブルー、ライラック、グリーンだと断言した。ではラベンダーは?と聞くと、それはライラックのことではないか。との答え。

帰国後、なにかの時に欧米人の「紫色」についての認識、といったことについて調べたことがありましたが、どうも日本人の紫に対する考えと欧米人とではかなり食い違いがある。といういくつかの記述を見出しました。

さらにキリスト教文化でも同様の記述があり、どうも日本人にとっての「紫」というのはその色域はずば抜けて広く、それぞれを見分ける感覚、使い分けてきた文化というのは世界的にも特異で稀な例ということになりそうです。

 

伝統色の紫とスギライトの紫

とまあ、浅薄な知識で仮定と疑問ばかりを列記していても話が進みませんので、実際に日本人が認識してきた伝統色としての「紫」と今日のスギライトとを並置比較してみることにします。

スギライトの紫と日本の伝統色

スギライトという石は亀裂の多いこと、さらにその色も固体差の激しい石として有名です。黒っぽいものから薄い桃色、中には白に近い色を含むことさえあります。

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ほんむらさき

この石の場合、見事というか、ドンピシャリというべきか、カラーチャートと並置して改めて分かったことは、日本の伝統色で言う「ほんむらさき」に極めて近い紫だということです。

そのことはカットした瞬間、水に濡れた原石の断面から鮮やかな紫が浮かび、たとえ小さくともその紫の塊が取り出せることを祈り、願いつつ最終工程へと進めてきました。

原石からは、このネックレスに使用した9.85カラットと制作中の小さなビーズが2点(次回リリース予定のブレスレットで使用する予定です。)、さらにあと1点、それは良い結果が出るかどうかはまだ定かではありませんが、小さなカット片が残っています。おそらくこの9.85カラットがもっとも華麗な紫、ということになるでしょう。

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曇り日の紫は美しい。

この9.85カラット、撮影時には正確なホワイトバランス設定に十分すぎるほどの注意を払い、慎重に光の角度を選びシャッターを切りました。ディスプレー上でもある程度正確なカラーバランスが設定されている場合、現物とほとんど変わらない色味をご覧になれることと思います。(経験値ですが、iMacの比較的新しい機種、あるいはiPhoneの場合、デフォルト値でかなり正確なカラー再現が可能でした。)

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撮影時の天候は曇り空、午後3時前後の柔らかい自然光での撮影でした。その曇り空が幸いし、不要な反射も少なく、石そのものの色味を正確に捉えることができたと思います。

より明るい環境であれば、逆光で一部の紫は微かに光を透過します。つまり通常見かけることの多い「スギライト」とは一線を画したGel スギライトという種類に該当します。

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最後に、このスギライトの研磨時のショット、シルバーバチカンの鍛造、バチカンと石とのセット調整の様子を、製作中のPV(プロモーション・ビデオ)の中からその一部をご紹介します。

プロフィールページで公開中。

 

 

サイズ等について

Gel-スギライト9.85ct. - 南アフリカ共和国 ウェッセル鉱山産

使用したチェーンはビンテージ・カレンシルバーを燻し、布で磨き仕上げ。

クラスプは925シルバーカニカンをチェーンと同じく燻し、布で磨き仕上げ。

バチカンを含んだ全長は51cmあります。サイズ調整は無料です。ご希望の長さをご指定ください。

 

Aquilax #53 Gel-スギライト ミニマム ネックレス Workページへ - 完売しました。

 

 

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