Twilight

白日の喧噪が薄らぎ万物がその形姿を背景に溶け込ませる日没時、 今日を振り返り、明日に思いを馳せる。
窓に明かりが灯り、会話が始まる。
明日も良い一日でありますように.......。
Stone cutter (鉱物研磨職人) Aquilax O

Aquilax #54 Rustic bracelet.

      2017/03/30

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Gel スギライトのビーズ

このブレスレットでは通常ビーズにすることのないであろう貴重な素材が2種使われています。

最初にご紹介するのはGel Sugilite (ゲル スギライト)。

この石については先般『Aquilax #53 Gel-スギライト ミニマム ネックレス』で触れました。

この石の場合、見事というか、ドンピシャリというべきか、カラーチャートと並置して改めて分かったことは、日本の伝統色で言う「ほんむらさき」に極めて近い紫だということです。

ブログ内引用:『Aquilax #53 Gel-スギライト ミニマム ネックレス

この「ほんむらさき」のスギライト、同じ原石から2個のビーズを作り、このブレスレットに採用。

先ほど「通常ビーズにすることのないであろう」と書きましたが、その通りです。この原石はそもそもルース用、常識的には宝石としてのスギライトをカットする素材です。そこに直径5mmの穴を穿ち、ビーズにすることはまずあり得ない。と考えるのがこの業界のようです。

 

上質な原石はなぜビーズにならないのか?

考えるまでもなく「ビーズ」の地位が「ルース」より下位に見られていること。穴を開けた石の価値はそうでない石よりも低く評価されること、とまあ、私的にはまったく意味をなさない理屈がはびこっているからでしょうか。ルースカットされた石にはルースとしての美しさ、用途があるわけで、ビーズもルースには求められない美しさ、用途がある。そこに優劣はない、というのが強固な持論です。

原石により異なる研磨方法

このブログをお読みいただいている方の中には、石を加工なさっておられる方も少なからずいらっしゃるようです。それは時々いただくご質問メールやお問い合わせの内容から理解できることです。

 

最も多いのが研磨についてのお問い合わせ。どのように磨けば良いのか?といった内容ですが、私はほとんどお答えできません。自分の技術がまだ途上だということが一番の理由です。

使用している設備、その設備を活用する自己の技術に適した原石を求め、それぞれの原石に即した研磨方法を用いているにすぎません。私の研磨手法は汎用的ではなく、それぞれの石との会話とでも言いますか、まあそんな感じです。完成した、あるいは人に伝えられる技術だと考えたことはないからです。

 

このことは今日のスギライトの場合も同様です。

これまで取引のあった原石業者の選択眼を信頼して、彼らの在庫の中から自分にもっとも適した、あるいは適しているであろう個体に目星をつけ、仕入れ加工しています。

 

原石を売買する業者の多くは、やはり利益を最優先する。これは商人であれば極めて自明の理だと思います。しかし私は彼らとは取引はしない。規模や利益最優先の業者を除外し、たとえ零細であっても品質という譲ることのできないボーダーラインを守り、鑑識眼を養おうという意気込みが感じられる業者を大切にしています。家業を守るといった姿勢です。

 

相手が信頼できる業者であっても、カット研磨する素材を多くの候補の中から選択するのは容易ではありません。その都度現地に足を運び、現物勝負であればほとんど問題は起きませんが、サプライヤーからのオファーの場合、当たり外れは否めないものの、業者さえ間違わなければ、外れの確率はかなり低くなります。

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この「ほんむらさき」のスギライト。この鉱物に情熱を注いできた30代のご夫妻がコレクションしてきた多くの原石の中から選び出したもの。日本人の美意識、体質に即した心休まる紫。希少な石です。

ダイヤモンド・ビットの劇的な進化

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希少な原石に穴を穿つ。それが翡翠のように石の構造が比較的均質で粘りがある場合、かなり大きな穴でも可能でしょう。しかし内部にいくつもの亀裂が走り、硬度や分子構造の異なる内包物を含んだ石の場合、穴の大きさにはやはり限界値というものがあります。

無理をすれば石は割れます。唯一、割れのリスクを最小限にとどめる方法は、極小の穴から徐々に直径を広げ、つまりビットの直径を小さなものから段階的に大きなものへ付け替えるという方法が必須です。

 

つい数年前まではそれでも割れの確率はかなり高かった。1本数万円という工業用の専門工具はありましたが、一般市場向けの場合、ダイヤモンドビットとは名ばかりで、さっぱり穴があかない、といったことも日常的でした。

 

ところがここ数年、厳密には昨年あたりから国産、あるいはアメリカやドイツの非常に優秀なビットが安価に入手できるようになりました。

以前、30分とか時には1時間かかった穴あけ仕事が、現在は5分もかからない。まるで段ボールに穴を開けるようにビットが石を貫通する。そのような技術革新もあり、積極的にビーズ作りに取り組めることになったわけです。穿った穴の美しさ、ということに拘らなければ、レーザーマシンという方法もありますが・・・。

ローマン コッパーのビーズ

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今回のスギライト、この色味と質の高さは確かに出色ですが、さらに希少なパーツがローマン コッパーのビーズです(上の写真、右側の象牙ビーズで挟まれたもの)。

 

近代以降の精錬技術とは比較にならないほど稚拙で原始的な方法で鋳込まれたインゴットが素材でした。おそらく、そのインゴットから貨幣なのか、あるいは指輪なのか、いずれにしても何かを作り出す目的で鋳込まれたものでしょう。しかし不純物が多く、ほとんど鉱石に近いとしか思えない銅の塊。慎重に汚れを磨き落としてみると味があり美しい。現代のアリゾナRay mineのマラカイトを含んだネイティブ・コッパーも魅力的で私の好きな素材ですが、それらからは得られない長い時間が産み出したラスティックでシャビーな質感です。比較するのはかなり乱暴な話ですが、私は「天然の木目金=Mokunegane」と感じたほどです。

 

数千年を経て蘇った銅。古代のインゴットから一部を切り離し、研磨し、穴を穿ち、ビーズとして使用しました。ひょっとして世界に一つのビーズ、ということになるかもしれません。

ちょっと寄り道。Mokume Gane

木目金は江戸時代に完成された秘法でしたが、近年注目が高まり、国内外での復活が盛んです。本題とは異なりますが、Canada NewBrunswickの彫金家Jonathan Coreyによる取り組みをYouTubeムービーからご紹介します。21分を超えるムービーですが、見ごたえは十分です。

Masterworks Jewellery - Trigold Mokume Gane Ring with Sterling Silver Liner

映像出典元:channel Masterworks Jewellery By Jonathan Corey

official site : Masterworks Jewellery By Jonathan Corey

ハンドメイドのマグネット クラスプ

Mokune Gane、金属が持つ可能性を強く印象付けられたムービです。

ちょっと長い寄り道でした。

本題のブレスレット、要ともなる接続部分についてです。

「Aquilax #52 ラスティク ネックレス 46cm」でも同様のクラスプを自作しました。

鍛造燻しの銀内部に強力なネオジムマグネットを内蔵。スムースな着脱感、52.30グラムのブレスレットを手首に確実にホールドします。

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サイズ直しについて

完成品は装着サイズ 手首周り17cm〜18.50cmです。これより7mm短くすることが可能です。この場合手首周り16.3cm〜17.80cmになります。サイズ直しは無料です。

Aquilax #54 Rustic bracelet.概要

  1. 南アフリカ共和国 ウェッセル鉱山産 Gel スギライト 2個 14.35ct.
  2. 古代ローマ時代 精錬銅インゴットより制作したビーズ 1個
  3. タイ王国産 象牙ビーズ 9枚
  4. リグナムバイタビーズ 1個
  5. カナディアン ラブラドライト ビーズ 1個
  6. .999シルバー叩き締め、燻し仕上げ ビーズ 5点。
  7. .999シルバー叩き締め、燻し仕上げ 強力ネオジムマグネット内蔵クラスプ。
  8. 直径5.2mm 最高級山羊革ステッチ ソフトコード ブラック。
  9. 全長20.50cm
  10. 装着サイズ 手首周り17cm〜18.50cm
  11. ユニセックス
  12. 1点限り

Aquilax #54 Rustic bracelet. Workページへ →完売しました。

 

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