Twilight

白日の喧噪が薄らぎ万物がその形姿を背景に溶け込ませる日没時、 今日を振り返り、明日に思いを馳せる。
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Stone cutter (鉱物研磨職人) Aquilax O

ナチュラル ターコイズマウンテン 14.00ct.

      2016/12/30

turquoise mountain 14.00ct.

これはバッキング必須

前回の「ローンマウンテン」そしてその前の「エジプト・ターコイズ」の場合、それぞれ記したとおり、バッキングは不要、しなくても十分な硬度が担保されている石でした。

もちろんNon Backedがすべてのターコイズに適用できるわけではありません。むしろバッキング必須、というターコイズも多数、いや大半はバッキングすべき鉱物だと言えます。それがターコイズの世界だとご理解ください。

さてこのターコイズマウンテンの場合、バッキングが必須です。

 

その訳は?

まず正面を撮影した写真をご覧ください。

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グリーンを帯びたブルーの部分、紛れもなくターコイズとしてのコアな部分です。しかし白っぽい長石質、酸化鉄やマンガンを含んだ褐色から赤茶、黒っぽい焦げ茶の要素がターコイズに被さったり、浸透したり溶け合ったりしています。

これらの模様の多くは母岩に含まれたターコイズとは異質の鉱物が水や地圧、風化などによって浸透してできたものです。

この自然のサイン=模様はそれぞれの鉱山によって特色があります。鉱山によるランク付け、さらにターコイズとしての緻密さ、透明感、艶やかさに加え、模様(=ウェブ)の出方によってもターコイズはピンからキリまでランク付がされたりもするわけです。

 

外見は似たような原石であっても、カットした内部、あるいは表層の内側に、赤茶や黒っぽい要素が複雑に重なり合い絡み合い溶け合い、時として夢のように美しい世界が現出することもあります。が、それは稀といえば稀、幸運と言っても良いでしょう。

 

ところが幸運だと喜んでもいられないことが多い。美しい模様が、実は曲者だったと言うこともあります。

つまり異なった鉱物要素と鉱物要素との隙間、ここに亀裂が走りやすい。いやすでに走っている場合も多いわけで、運が悪いとカット研磨段階で亀裂に沿って割れたりもするるわけです。

 

ターコイズマウンテンの場合、市場に出てくる原石は比較的大きめのものに恵まれ、塊をスライスカットして作業に着手するケースがほとんどですが、樹脂浸透処理をしていないナチュラルの場合、スライスカットの時点で亀裂が露出するなど、鉱物としての弱点を補う必要があります。その弱点、言い換えれば構造的な弱さを補う最善の方法が強度のある物質で背面を均質に覆うバッキング処理ということになります。

ターコイズの複雑深遠な世界を語るにしては、かなり大雑把な記述ですが、基本的には間違いのない記述になると思います。

ターコイズマウンテンについて

鉱山について触れるには1960年代まで遡ります。

アリゾナ州にあるキングマン鉱山、昔から大規模な銅の鉱山として有名ですが、ターコイズの埋蔵量に恵まれ、この鉱山の石は目にする機会が多い。最近では一般市場で目にするアメリカンターコイズ原石のほぼ7割ほどがキングマンです。

 

このキングマンの近くにターコイズマウンテン・ピーク、キングマン・イサカピークという2つの坑道がありました。それぞれの坑道は近接し、距離にして400メートルほど。

この二つの坑道はキングマン鉱山の一部でしたが、本家のキングマンとは色味が異なることから別鉱山、というより別の坑道として区別されていました。

 

ターコイズマウンテンのカラーレンジはかなり広く、ライムグリーンから明るい青まで。不規則に小さな面としての模様や緻密なウェブ模様の入ったもの、あるいは模様のないものなど、デザイン的にも豊かなバリエーションに恵まれています。

 

一方、イサカピークはといえば、やはり鮮明なナチュラルブルーにシルバーにも似たパイライト模様が入ったもの。ブルーの純度が高くパイライトの配置バランスが良いものはかなり高価です。

 

ターコイズ・マウンテンからはバーズアイと呼ばれる、淡いブルーの周りを濃いブルーが囲んだ模様の石が出ることがあります。模様が鳥の目のようにみえることから、バーズアイと呼ばれていますが、この鉱山の特徴的なターコイズとして人気があります。特に上質なバーズアイはコレクションアイテムとして価値のある石です。

 

ターコイズマウンテン・ピークもキングマン・イサカピークも稼働期間は短く、1970年台には相次いで閉山しました。

流通している原石にしろ完成品にしろ、それらの大半、恐らく90%以上はスタビライズド加工など、改変処理がなされています。それらは比較的安価に入手可能ですが、ごくわずか生き残ってきた「ナチュラル」はやはり高価です。特に1950年代のキングマン系の原石はエイトやキャリコに匹敵するグラム単価でオファーが来ます。

じつはその時代のナチュラルが1点、カタログページに残っています。「ナチュラル キングマン ターコイズ 26.15ct.」ですが、この力強い美しさ、なぜか伝わらないようです。TuFaでシルバーの台ができたら、組み込もうか、などと思案中です。

 

一度は閉山したキングマン鉱山ですが、2004年9月から採掘が再開されました。

がしかしです。新鉱山主マーティン・コルバーは、銅の採掘のため、すべてのターコイズを廃棄しているとか。

したがって現在採掘されているキングマン鉱山というのは、昔の本家とは異なり、閉山されていたターコイズマウンテンの坑道から掘っているもので、上質な石は40年以上前にイサカで出ていた最高グレードと遜色ないグレードです。

鉱脈が異なるために、かつてのターコイズマウンテンとは色味で区別されるため、キングマンと呼ばれています。

バーズアイも、昔はターコイズマウンテン・バーズアイでしたが、いまはキングマン・バーズアイと言われています。

艶やかさより石の色味を重視しての撮影

今日のターコイズ・マウンテン14.00カラット、透明度の高いグリーンがブルーに溶け込んだ色味です。

このタイプ、表面を平滑に、そして艷やかに仕上げるのは至難の作業。このカボッションでは2回挫折。先月末に意を決して(大げさでなくそのとおりなんです)挑みました。仕上げを急がないで目の細かいカッティングホイールで丹念に丹念に。

写真はレンズに反射光や映り込みを排除するUVフィルターをカマせて撮影、テリヤ艶やかさより色味を重視しました。現物は周囲の景色が映り込む仕上がり。

リリースプライスはアリゾナ現地価格 = カラット単価($3.50前後)を基準に設定してみました。全ての作業時間から考えると時給200円程度になるんじゃないかと・・・。良い結果が得られましたので、それでも良しとします。

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