Twilight

白日の喧噪が薄らぎ万物がその形姿を背景に溶け込ませる日没時、 今日を振り返り、明日に思いを馳せる。
窓に明かりが灯り、会話が始まる。
明日も良い一日でありますように.......。
Stone cutter (鉱物研磨職人) Aquilax O

タイトウェブ ダマリ 44.20ct.

      2017/01/28

ダマリ ターコイズ

密集したウェブの饗宴

これまでにどれほどのダマリ(= Damele =ダメイル)をカットしてきただろうか。

ダマリは心惹かれるターコイズのひとつ。どことなく不思議で神秘性さえ感じる色と模様。概して西洋的というより和の美意識を満足させてくれるネバダの希少なターコイズ、というのが私の中での位置付けになるのではないかと思います。

 

透明感に満ちたアップルグリーン系ターコイズの代表格といえばはカリコレイク(=キャリコレイク)。カリコレイク鉱山からはバリエーションの広いグリーンとブルーが出ますが、ダマリはそのカリコレイクに近い小さな鉱山です。

かつての鉱山主が交通事故に遭遇、その後、一時的にかなりの量が市場に出ましたが、現在は上質な原石に出会う機会が年々減ってきています。

 

今日のダマリは今年買い付けた原石の第一便、20年近くお世話になってきたネバダのターコイズディーラーの経験値から厳選された幾つかの原石の一つからカットしたものです。

カットは容易だがポリッシュは困難

ダマリターコイズはグレードの幅も広く、品質、価格は石によってまちまちですが、カッターにとっては比較的ありがたいターコイズです。それは亜鉛の含有率が他のターコイズより高いことに起因しています。

亜鉛の含有率が高いターコイズは比較的石に粘りがあり、硬度もあり、バッキングなしの状態でもカットの自由度が高く、作業途中で割れたり崩れたりといったリスクが少ないからです。

 

先程この鉱山から出る石には 亜鉛が多く含まれ、硬度が高く、カットは比較的容易、と書きました。しかしダマリの研磨(=ポリッシュ)となると、そうはいきません。むしろ正反対です。

ポリッシャーにとって、ダマリは鬼門。すべてのダマリがそうだというわけではありませんが、大半が仕上げ工程では難攻不落のターコイズの部類に入ります。

仕上がった石の表面や肌の艶やかな美しさからは想像さえつかないのではないかと思いますが、ちなみに今回の44.20カラット、背面写真をご覧になると、私が言わんとしている意味がご理解いただけるのではないかと思います。

Back view - Damele Turquoise.

最大サイズの画像2400pics×1600picsまで拡大していただくと、この石の背面が小さな凸凹のピンポイントに覆われていることがお分かりいただけることと思います。これは中磨きを終えて仕上げ磨きに入っての状態です。

原石の段階では160カラット以上、全面コブだらけの様相を呈していました。最大厚は20mmを有に超えた、かなりどっしりとした塊。それを削りに削ったのがこの写真の状態です。

 

この段階に至る前に、表面にする面と背面にする面とを見極めます。表面となる側も、じつはこの背面と大差のない凸凹な状態でした。

 

そこでまず表面の精度を追求し、仕上げ面にまで磨き込みます。

しかし背面の研磨はある段階で見切りをつける必要があります。

この背面を表面同様の艷やかな面にしようとしたら、極めて薄い板になるか、最悪かなりの確率でこの石はすべて消滅する羽目に陥ることでしょう。

 

小さな針先のような窪みに阻まれ、どこまで磨いても留まることがない、というのがこのタイプのダマリの素性です。

 

幸い、ギリギリの判断で、この原石をソリッドモデルとして活かすことができました。

これ以上磨き込めば、物理的な強度の問題から、ソリッドとしてリリースすることは断念し、バッキングからやり直すことになったでしょう。

 

ヒヤヒヤしながらの研磨作業でしたが、結果は予想を超えました。石の深部に秘められていたこの微細なウェブ模様を取り出すことができたわけですから。

美しく希少なダマリです。

今回もまた、カラット単価の設定には悩みましたが、予想を超えた原石を予算内で入手できたわけですから、ネヴァダ現地の小売価格に準じたカラット単価としてリリース致します。

 

タイトウェブ ダマリ 44.20ct. Workページへ - 完売しました。

 

 - ダマリ=ダメール