Twilight

白日の喧噪が薄らぎ万物がその形姿を背景に溶け込ませる日没時、 今日を振り返り、明日に思いを馳せる。
窓に明かりが灯り、会話が始まる。
明日も良い一日でありますように.......。
Stone cutter (鉱物研磨職人) Aquilax O

サイクロイド曲線的カボション

      2017/05/23

数学曲線の美しさ

これまでの流れ

数学曲線が持つ美しさ。意識してカットに導入したのは8年前の秋、ドミニカンブルーアンバーにまで遡ります。

翌年3月に公開したオリジナルムービーが、そのカットです。

この24.85カラットでは凸面の放物線を基にしたサーフェイスと凹面のサイクロイド曲線によるサーフェイスを組み合わせ、透過する光をコントロール、琥珀の屈折率(1.53 - 1.55)を考慮し、内部からの蛍光発光色を最善の状態で、見る者の目に届くよう微調整を繰り返し完成に至りました。

 

このムービーをご覧になった方々から、様々なお問い合わせをいただいてきましたが、それらの多くは「このようなカットは今も可能か否か」といった内容です。

 

すでに数年前から、ここまでグレードを極めた原石はきわめて少なく、現在は非常に高価。仮に再現できたとするとカラット単価は優に2万円を超えてしまいます。しかも最高グレードの原石がネット上に出ることは皆無。現地に足を運ぶことによって初めて入手可能な原石の部類です。

しかし原石のグレードさえ問わなければ、数式を基にしたカットは可能です。

(上記、YouTubeのAkira Obataチャンネルは旧チャンネルです。現在はAquilax Oで更新しています)

 

カボションの三次元化

このブルーアンバー以降、様々な原石に数学曲線を適用してきました。

際立った特徴はカボションの三次元化。

「額縁に入った絵画」ではなく、彫刻的な立体物。光と影の美しさ。その美しさは光による明暗の比率によって決まります。

 

今回の「サイクロイド曲線」、別名「最速降下線」とも記されます。これは古来、私たちの周囲にも応用されてきました。

それは東大寺などの寺院や城などに見られる屋根のカーブです。

1000年以上前の宮大工は経験値から、あえて計算式で求めるまでもなく、直線で構築された屋根構造に漆喰を重ね、微妙に調整しながら屋根瓦を配置し、見事なサイクロイド曲線を生み出しました。

その理由は?

それは、この曲線が直線より素早く雨水を落下させる、ということです。

そう、ジェットコースターの軌道曲線もまた同様、その頂まで上り詰めたゴンドラは、一切のエネルギーを必要とすることなく、滑空し、目的の位置にまで到達する。数学では「重力が一定な場で2点間を最短時間で結ぶ軌跡」と定義されています。

機械式時計の歯車も抵抗値を極限まで減らし、滑らかな回転運動が得られる、ということからやはりサイクロイド。

 

石のカットに「2点間を最短時間で結ぶ軌跡」がどのような効果をもたらすのか。

私の解釈は単純そのもの。

それは視覚に対して抵抗感がなく、純粋に「美しい」からです。

さらに付け加えるならば、宇宙のひとつの要素としての「鉱物」が持っている構造的な真理。その領域に素直に触れることができる。換言すれば、たとえ多くの時間を要してもなお「原石を無理強いすることなくカットできる」ということもあるでしょう。

モレンシ5.40カラット

このモレンシターコイズ、写真でもご理解いただけることと思いますが、その緻密さは超一級です。確かな硬度は瑞々しい艶やかさを生み出しています。

透明感に満たされた青の美しさも秀逸です。

モレンシの堅牢さを生かした三次元カットとしてのカボション、only one,only you、1点限りです。

 

タイトルの「サイクロイド曲線的カボション」に記した「的」、これはバッキング部分は枠にセットすることを前提に、平面に対し約88度の角度を持たせてあることから、この部分はサイクロイドとは異なることから「的」としました。

 

ご連絡をいただければ、ジュエリー作家さんのご紹介、デザインのご提案など、進行のお手伝いを致します。

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