Twilight

白日の喧噪が薄らぎ万物がその形姿を背景に溶け込ませる日没時、 今日を振り返り、明日に思いを馳せる。
窓に明かりが灯り、会話が始まる。
明日も良い一日でありますように.......。
Stone cutter (鉱物研磨職人) Aquilax O

極上のダマリ 162.20ct.

      2016/07/03

ネバダ産 極上ダマリターコイズ 162.20ct. コレクターズ カット強気でいたつもりでも妻や子供達、友人知人のことなど思うにつけ、不安やら寂しさには勝てず、気重い時間ばかりが過ぎて行きました。
ところがです。不思議なことに、胃の中に居座っていた癌組織がすっかり影を潜め、
「切除する組織らしきものが特定できない。」
医師の言葉に、そんなことってあるんだろうか。モニターに映し出された内視鏡撮影の画像についての比較説明を聴きながら、ぼくは一瞬狐につままれた思いでした。
わずか一ヶ月半ほど前、いくつかの小さな腫瘍、さらに五百円硬貨大の悪性腫瘍が認められ、矢継ぎ早に検査に次ぐ検査。
検査組織の摘出、採血、CTスキャン、内視鏡撮影。つい半月ほど前までは確かに認められたあの腫瘍共が、ほぼ跡形もなく消え去っている。
「転移の可能性もまずないでしょう」
全身麻酔から半ば意識の朦朧とした私と、横に佇む妻の顔を代わる代わる見ながら、機敏で武士にも似た佇まいの医師はそう断言した。

一回目の検査日から妻の徹底した食事療法が開始された。これまでも冷凍食品、加工食品はすべて×。自然食品と銘打ったパッケージであっても、印刷されたひとつひとつの成分に目を光らせ、化学薬品らしきもの、合成添加物などがあれば決して家族や来客の食卓に供することはなかったが、その審査基準はその日を堺にさらに厳しさを増した。
野菜ひとつをとっても、信頼出来る生産者以外のものは絶対に使わないといった完膚なきまでの毅然たる姿勢。お陰で口にする食材全ては純粋な自然の恵み、ということになる。
医食同源の積み重ねに恐れをなし、癌という厄介者は退散したのかもしれない。
あとは必要最小限に絞り込んだ日々の投薬と毎月一回の精密検査。勿論、一切の病巣が消失霧散したわけではないと医師は語っていた。しかし決して病人にはならないという頑なまでの決意は今後も変わることは無いと思います。
この間、思うこと、考える事が山ほどありました。なによりも時間ということの大切さ尊さ。日々の所作に慎重であること。これまで生きてきて、突然訪れた災厄、コンピュータ用語で言うところの「カーネルクラッシュ」だったということでしょう。
なにはともあれ、ご心配をお掛けいたしました。これからも十年二十年、執念深く石との対話を続けていこうと思います。

転じて石の話です。
じつは春以降、翡翠に取り組んでいます。取り組む相手は新潟県糸魚川地方で発見された糸魚川翡翠。古代石器時代さらに縄文弥生時代の遺跡からの出土、大和、飛鳥、奈良時代の寺社、宝物庫に納めれてきた「玉」への想いが糸魚川翡翠に取り組む根底になっています。
伝説や謎に彩られた我が国の翡翠。これまでも何度と無く挑戦してはきたものの、その硬さ独特の粘りから、思うような結果に結びつくことはなかった。
しかし今、その硬さや粘りに対する手応え、切磋琢磨ということが無性に恋しく身近な課題だと感じられる。幸いにも専門業者が集まっている糸魚川市や周辺地域まではわずか数時間。原産地が身近にあるということは、石を磨くという仕事にとって、最大の安心感でもあるわけです。太古の昔から日本人が神聖視し慈しんできた国産硬玉翡翠、長年の研究成果とともに、いよいよ長期連載がスタートします。


(9月19日、2+1トップページに掲載いたしました「糸魚川翡翠 勾玉」についてですが、数年前に首都圏の翡翠専門表者から譲り受けた「糸魚川産原石」からカット研磨したものです。
ところがごく最近、糸魚川の専門業者により、これは糸魚川産では断じてない、ミャンマー産の可能性が強いとのご指摘を賜り、目下、譲り受けた業者に原産地確認を依頼中です。
今後、全ての原石は糸魚川市のフォッサマグマミュージアム館長でもあり我が国翡翠研究の第一人者として内外ともに著名な宮島宏博士の鑑定を経て、カット研磨しようと考えております。)

それでは今日のダマリ(ダメイル)についてです。
有史以来、人々は「宝石」に憧れを抱いてきました。珍しく美しく硬質なもの。これは宝石の価値を決める3大要素です。珍しく美しいものはなにも宝石に限ったことではありませんが、硬質、つまり硬いという要素になると石です。硬い石とは永遠不変を意味します。地球上で最も硬い物質はダイヤモンドですが、エメラルド、ルビーなども硬い鉱物です。


ではターコイズはどうかというと、残念ながら決して硬い鉱物とは言えません。しかも中級以下のターコイズの場合、そのほとんどは組織的にはスカスカの「スポンジ」石です。広く知られるように様々な人工処理はその弱点を補うためになされてきたわけです。
これはダマリでも例外ではありません。組織のスカスカの石は脆く、いくら磨いても美しいガラス状の色艶は得られません。つまりターコイズであっても他の鉱物(宝石)であっても、鉱物としてそれが上質か上質でないかということがまずあるわけです。


たしかにターコイズの価値判断というのは複雑で難しい。ほとんど同じような石であっても、鉱山によって価格は天と地ほども開きがあったり、ウェブなど模様によって価値が大きく異なったりします。さらに厄介なのは時代による好み、流行によっても相場は大きく変動してきました。
これはどうも面白く無い。ぼくはそう考えています。
大切なことは、それが「鉱物」として上質なのか上質ではないのか、といったことこそ重視されなくてはならないのではないか、ということではないでしょうか。
以上の価値判断からして、このダマリは非常に重要な石だと思います。
(上の写真は背面の様子です)

写真を見比べてみて下さい。言えることはこれがターコイズの塊だということ。母岩にターコイズ結晶が貼り付いたものでも、樹脂によってバッキング処理されたものでもありません。丸ごとターコイズ、繊細な模様が全面を覆っています。
焦げ茶あるいは金茶色のウェブがこの石の全面を覆っています。ネットで覆われたかのような内部から顔を見せているグリーンの濃淡。この色の対比から生まれる美しさは欧米人にはなかなか理解されない侘寂の世界と言っても良いのではないかと思います。日本人としてのアイデンティティ、そんなことを強く意識しながら作業を進めました。
ネバダ産 極上ダマリターコイズ 162.20ct. コレクターズ カット162.20カラットというのもこの石の希少性を決定づける大きな要素だと思います。
コレクターの方にこそ強くお薦めしたい希少な逸品です。

商品No.:TQ130926
商品名:ナチュラル 極上ダマリ 162.20ct.
サイズ:W 32.84mm / H 44.95mm / D 18.12mm(ソリッド)
表裏貫通の通し穴(直径3mmまで)を穿つことも可能です。
Lapidarist (Stone Cutter) : Akira Obata
カラット数:162.20カラット
ナチュラル 極上ダマリ 162.20ct.は完売しました。
ありがとうございました。

 - ダマリ=ダメール