Twilight

白日の喧噪が薄らぎ万物がその形姿を背景に溶け込ませる日没時、 今日を振り返り、明日に思いを馳せる。
窓に明かりが灯り、会話が始まる。
明日も良い一日でありますように.......。
Stone cutter (鉱物研磨職人) Aquilax O

Kalumpang Green Amber.

      2016/07/19

Kalumpang Green Amber 今日ご紹介するアンバーはオランダ東インド会社による植民地時代そして日本軍による占領時代、セレベス島と呼ばれていた、スラウェシ島産の希少なグリーンアンバーです。 スラウェシ島、日本にはあまり馴染みがないと思いますので、まずその位置確認をします。 スラウェシ島 (写真をクリックすると拡大画像が別ウインドウで開きます) アルファベットのKをデフォルメしたような複雑な形をした島がスラウェシ島です。 この島を中心とした一帯はアルプス・ヒマラヤ造山帯と環太平洋造山帯とが複雑に入り組み、合流しているため、地形はきわめて複雑、島部の殆どは山岳地帯で占められています。 海峡を挟んでスラウェシ島の西部にある大きな島はカリマンタン島(ボルネオ島=我が国本州の約3倍の面積がある世界第三位の島です)。さらに西側の細長い島がスマトラ島。スマトラ島東南東にはインドネシアの首都ジャカルタのあるジャワ島。これら広い一帯で個性に富んだ各種アンバーが採掘(というより発見)されています。スラウェシ島の東北東にあるHalmahera島(テルナテという地名のある島)でも「僅かながら発光したり昆虫などの化石を含んだアンバー発見されていた」、という現地情報をごく最近得ることができました。 つまりこの一帯で産出するアンバーの分布地図は今後さらなる広がりを見せることと思います。 さてスラウェシ島西部のKalumpang(カルンパン)産グリーンアンバーについて話を進めます。 採掘されたのは上の地図のほぼ中央、赤いプロットポイントの地点です。採掘された正確な時期は不明ですが、すでに採掘作業は途絶えているとのこと。少なくとも30年以上前の産物だろうというのが、現地からの唯一の情報です。 衛星写真で確認すると急峻な山岳地域であることが判ります。 スラウェシ島 (写真をクリックすると拡大画像が別ウインドウで開きます) 多くのアンバー産出地の例からして、恐らく川に近い粘土質の地層から発見されただろうと推測しています。 次の写真が数ヶ月前に入手した「スラウェシ島西部」産アンバー原石の数々です。 スラウェシ島西部産アンバーの原石 カットしたのは写真左手前の原石。大半が濃い藍色の発光色を秘めていますが、この原石と右奥の2点は緑系の発光色を放っています。特に左側の場合発光色が鮮明で、透明度の高いメープル色が際立っています。 作業を初めて最初に感じたことは、この原石外皮の硬度の高さでした。外皮の厚さは10mm以上。外皮を落として琥珀層へ。艶やかなメイプルイエローが現れてきます。ここまで来るとカットマシンに流れ落ちる琥珀泥はことごとく真っ白。原石の塊全てが高密度の琥珀質です。 琥珀を形成した樹液は当初、豆科の広葉樹ヒメネアプロテーラもしくは楓属の樹木ではないかと思われます。 プレカットが終わった段階でひとまず仕上げイメージを確認するため、ダイヤモンドペーストでのポリッシュを試みます。このテストポリッシュで最終的な透明度、カラー、発光色、内部の様子などがほぼ正確に把握することが可能になります。 テストポリッシュで判明したのは、内部に黒く微細な虫と思われる化石が存在すること。さらに表層部分には幾重にも重なったかなり大きな植葉と思われる痕跡が見られることです。 同様の内包物はこれまでも何度か経験して来ましたが、その鮮明さは際立っています。 表層部分の不純物を慎重に磨き落とす必要があります。 全体を占める発光色は天然のグロッシュラーグリーンガーネットに近い緑、パートにより、あるいは光線の角度により青い輝きがグリーンの美しさに深みをプラスしています。 そして完成したのが以下の写真です。 まず逆光線(自然光に撮影用ライトを併用)の中での透明な姿です。 植葉の痕跡(ほぼ化石化しています)。さらに拡大鏡で目を凝らすと微小な昆虫の姿が内部に息づいています。 Kalumpang Green Amber. 次の3枚は半逆光の自然光だけで撮影しました。 Kalumpang Green Amber. Kalumpang Green Amber. Kalumpang Green Amber. さらに背景をやや黒っぽいグレイに変えて撮影。光線は窓から差し込む日中の自然光です。 Kalumpang Green Amber. Kalumpang Green Amber. 今回のカット工程の最中、思い当たることがあったのですが、それが何なのか思い至りませんでした。が、先ほどようやく糸口がはっきりしました。それはこの石質、艶、硬度などが一昨年7月にリリースした「Blue Burmite」(旧ブログ BLUE AMBER'S BULOG → BLUE BURMITE 1) に非常に似ているということでした。 SULAWESIの琥珀は今回で2点目。以前のSULAWESIはKalumpang とは島のほぼ反対側に位置するKendariで産出された物でしたが、同じ島でありながらタイプは全く異なっています。樹液の基となる植生分布の違いでしょう。と同時に遠く離れたビルマのサルウィン川上流地帯とWest SULAWESI Kalumpangの植生とが非常に似通っていた、と考えられる訳です。 ここ暫く、時間を見つけては100kgを超える琥珀原石の種分け作業をしてきました。 漸くほぼ半量が終わり、さらに良質なものだけを選別、産地別に分類することができました。 それにしても大変な量です。 これらの中に美しく希少な原石が潜んでいることは間違いありません。 列島全体が揺れや放射能の影響で不安な空気に覆われていますが、石との対話は何ら変わることがありません。 今日ご紹介の、 Ultra Super Rare & Museum grade.for collector only. Kalumpang West SULAWESI (CELEBES) Indonesia. Transparency and Very Hard Amber. Emission : Grossular Green. Plants and insect fossils insid. 41.11 mm x 71.35 mm x 34.85 mm 271.60 ct. 完売しました。ありがとうございました。 今週末にはいよいよSouth SumatraのDeep Blueのリリースが叶いそうです。 さらに今月末を目処に、ネバダとアリゾナのターコイズ超一級品が1年ぶりに到着する予定です。原石や現地でバッキングされたビンテージなどすべて驚きの品ばかりです。ご期待下さい!!

 - スラウェシ島の琥珀