Twilight

白日の喧噪が薄らぎ万物がその形姿を背景に溶け込ませる日没時、 今日を振り返り、明日に思いを馳せる。
窓に明かりが灯り、会話が始まる。
明日も良い一日でありますように.......。
Stone cutter (鉱物研磨職人) Aquilax O

Halmahera Multi Color Sea Amber

      2016/07/19

  すべての写真は拡大画像にリンクしています。各写真をクリックしてください。 こんばんは。 9月も中旬だというのに、残暑が厳しい日が続きますね。とは言っても、この時刻になると開け放った窓の外では虫達の鳴き声が。過ごしやすい秋まであと少しです。 さて、今夜は久しぶりにアンバーのご紹介です。 産地はインドネシアモルッカ諸島にあるHalmahera(ハルマヘラ)島。 最初にYouTubeに島の様子を伝えるムービーがありましたので、ご紹介します。
この島は活発な火山活動による噴火が繰り返されていますが、ムービーでは地上の楽園として紹介されています。 Google Mapで島の位置を確認します。 Halmahera Halmahera 原石が採取されたのは2枚目の地図にあるHalmahera Seaの海岸地域、具体的なスポットは知らされていません。さらにこの島に於けるアンバー採掘の歴史について調べましたが、手元にある文献さらにはネット上でもそれらしい記述は発見できませんでした。 私は先ほど採掘ではなく「採取」と書きましたが、この2点の原石は海岸で「採取」されたSea Amberです。 採取された原石が次の写真です。 日本でも各地の海岸で琥珀片が見つかってますが、加工が可能なサイズとなるとバルチックのSea Amberが有名です。大きな塊ということになると、バルチック以外ではこのハルマヘラが初めての出会いということになります。しかも是等はタダモノではありません。サイズも去ることながら、強烈な蛍光発光、さらに光の波長によって発光色が変化します。   のっぺりとした板状で全体に細かな砂質の岩石で覆われています。 このような原石を手にしたのは初めてでした。 水に濡らすと、苔にも似た緑色が浮き上がって来ます。この緑色はアンバー本体の色ではありません。   光に透かすと内部に黒い内包物が見えます。これは溶岩に含まれる炭素質かと思われます。   これが今回着手した原石です。この原石も細かな砂質の岩石で覆われています。 さて、ここからが今回完成したアンバーについてです。 原石は上の写真の最後の1枚、アンバーにしてはかなり重く、カットする前は640(3,200カラット)グラムでした。 原石の段階でも仔細に観察すると幾状もの亀裂が見られますが、カットを進めると大小の亀裂、さらには油煙にも似た内包物(溶岩に含まれる炭素質が炭化したもの)が際限なく現れて来ました。 アンバー研究者によると、アンバー内部の亀裂は樹木の年輪にも等しく、温度の変化、地殻の変動といった歴史を刻んだ痕とも解釈できるようです。 過去、ここまで厄介な原石は例を見ませんでした。 しかし工程を進めていくと、経験したことの無い多彩で強い蛍光色。 比重、硬度、亀裂の状態から、これがかなり古い時代のアンバーであることがはっきりしてきました。 重量感、硬度、内包物など、昨年リリースしたアラスカンアンバー「ALASKAN BLUE GREEN AMBER 02」に似ているようにも感じましたが、発光力、発光色はHalmaheraは遥かに上回っています。 これまで着手した多くのアンバーの中でも、最も古い時代に属するアンバーだと思われます。 起源となった樹種についてですが、カット・研磨を通して実感したのはヒメナエアなどのマメ科広葉樹や杉科針葉樹(アジアンアンバーの殆どはこのタイプ)とも異なっている気がします。アンバー研究で有名なRoberta Poinar氏が著書「The Amber Forest」で触れている巨大なシダ科樹木ではないかとも思われます。 それでは完成形をご紹介致します。 まず逆光で撮影した3枚の写真です。全体の形状、研磨精度をご確認下さい。 次の3枚。圧巻とも言える発光色そして発光力です。   3枚目のこの写真ではカメラの絞りを最大値まで絞り込み反射光をカットするフィルターを装着して撮影しました。 透明度の高いアンバー質を通して、内部の様子がよりリアルに映り込んでいます。 以上が今回撮影した写真ですが、この稿の最初の方で「光の波長によって発光色が変化します」と書きました。 上の写真でお判りのように、自然光では緑の勝った発光傾向ですが、それが光の波長によって変化します。 私は作業の手元を照らすためにTOSHIBA ネオボール 電球色蛍光灯(EFD15EL/13-Z)という光源を使用しています。ごく普通のクリップ照明器具です。実はこの光の下では濃いコバルトブルーが強く発光するなど、波長の異なる光源によって、蛍光する発光体が異なるかのように、発光色が変化します。これは紫外線ランプによる蛍光発光とは根本的に異なっています。 お手元に電球色蛍光灯がありましたら、是非試みてください。息を呑む、そんな言葉が単なる形容ではない、というご経験をされることと思います。 今日リリースのHalmahera Multi Color Amberについては以上です。 冒頭でご紹介したさらに大きな1点の原石、これについては内部に気になる要素があります。何やら化石のようなものが.........。発光色も異なっているようです。じっくりと取りかかろうと思います。 それにしても驚くべきことは、インドネシアの業者達がキャッチする情報の素早さと、その正確さです。 決して経済的に恵まれているわけではないようですが、それでも彼らは最先端の衛星携帯電話を駆使して、無数にある島々と情報を交わし、様々な物資を調達する能力とネットワークを持っていると言うことです。 彼らにとって衛星携帯は生きる為の重要なツールであると同時に、ヒンズー教徒の結束力の強さ、ということもあるのではないかと思います。 数千の島々を擁するインドネシア、さらに環太平洋火山帯に位置する周辺国。まだまだ未知のアンバーが眠っているに違いない。今回のリリースを通して確信を深めております。 -------------------------------------- Halmahera Multi Color Amber. 830ct. 91.17 mm(幅) x 101.46 mm(長さ) x 69.04 mm(厚み) ----------------------------------------------------------------------------

 - 南アジアの琥珀