Twilight

白日の喧噪が薄らぎ万物がその形姿を背景に溶け込ませる日没時、 今日を振り返り、明日に思いを馳せる。
窓に明かりが灯り、会話が始まる。
明日も良い一日でありますように.......。
Stone cutter (鉱物研磨職人) Aquilax O

Manokwari,West Papua Blue & Green Amber.

      2016/06/15

Manokwari,West Papua Blue Amber.

七草を過ぎてしまいましたが、明けましておめでとうございます。
年末年始、ただただ琥珀を磨く毎日でした。
せめて三が日はゆっくりと、と考えておりましたが、年明けに到着予定の原石35点が、年末に到着、その素晴らしさにじっとしていられず、仕事始めを繰り上げた、というわけです。

 

アジア地域から買い付ける原石は、一言で言えば「玉石混淆」。良いものもあれば、磨きに適さないものも多く含まれています。ロット買いがアジアの琥珀市場での商習慣ですので、これは致し方ないことです。


しかし今回到着の原石は梱包を開いてびっくり。三分の二が虫や植物の化石入り。残り三分の一はIndonesia West Papua地方のManokwari 近郊で採掘された一級品ばかりでした。エクセレントランクのスペシャルオファーというわけです。


業者の説明では化石入り以外は10~15年程前に採掘されたもので、現地の秘蔵品とも言えるものだとか。何度かの取引を経てようやく出してきた、そんな印象でした。
前口上はこれくらいにして、今日リリースの「Manokwari,West Papua Blue & Green Amber 310.10ct.」についてです。


まずカットし始めた時、不思議なことに気づきました。全体を覆うタールにも似た真っ黒な泥岩、カッティングマシンのダイヤモンドホイールに水を流しながら、表面の泥岩層を丹念に削り取っていくのですが、ドロドロとした黒い水の中から、香木にも似た高貴な香りが漂ってくるのです。

それは伽羅香木に近いように思われました。手を洗い改めて鼻を近づけると、体温のせいでしょうか、今度はフローラル系の甘い香りに変化していました。
下磨きがすべて終わるまでの数日間、優雅な香りに包まれての作業となりました。
さて本題はこれからです。
次の写真をご覧下さい。(写真をクリックすると拡大画像が別ウインドウで開きます)
Manokwari,West Papua Blue & Green Amber.

これは南側の窓際に撮影台を移動、逆光で撮影したものです。
最初真っ黒だった原石も磨き進めて行くと、カット中に出る琥珀の粉は白く透明な琥珀質に変わりました。青、緑など多色系を発光するドミニカの場合、内部に黒い炭素質が含まれていることが多いのですが、この原石の場合それがありません。非常にピュアな琥珀です。
拡大イメージをご覧頂くと、内部の様子がお判りいただけることと思います。
ここでは透過する光が黄金色に輝き、バロック的な美を醸し出しています。
上質な琥珀質だけが可能な光の美しさです。
内部に分布する異形の物質、これは樹木が化石化したものと思われます。琥珀質は非常に緻密で、艶やかな美しい肌に仕上がっています。

 

次の2枚の写真は鹿革を敷き、右側からの斜め順光で撮影。深い青からエメラルドグリーンへと変化する透明感を帯びた発光色のグラデーションが見事です。
数千万年を経て自然が創り出した美。まるで宇宙から地球を眺めたかのような景色を再現することができました。

Manokwari,West Papua Blue & Green Amber.Manokwari,West Papua Blue & Green Amber.

透明な琥珀質の内側に分布する繊細な化石層、景色を形作っているこれら内包物が表面に露出してしまうと、艶やかな肌を得ることは不可能です。場所によっては数分の1mmという薄く透明な琥珀層を残しながら全体の形を整えて行くという作業が必要になります。
下面に凹凸模様が見られますが、これらは鹿革の表面が映り込んだものです。すべての面はクリスタルガラスのように磨き込んであります。

最後に背面の写真です。

Manokwari,West Papua Blue & Green Amber.Manokwari,West Papua Blue & Green Amber.

この石の場合、表裏という表現はあてはまらないように思います。仮に背面と呼びますが、表面に負けない美しさを備えています。内部に極めて薄い層が雲母のように重なり、水紋にも似た景色を生み出しています。表面は青が際立っていますが、背面は緑が主体です。周辺部に見られる鮮やかなラベンダーブルーも見逃がせません。

ざっとここまでが今日リリースの「Manokwari,West Papua Blue & Green Amber.」の概略です。
私はアジア地域にこれほど鮮明な青や緑、さらにラベンダーを発光するアンバーが存在していることに大きな驚きを感じています。希少性は勿論、品質、美しさ共に一級品です。
ボルネオ、ジャワ、スマトラそして西部パプアなど、広範に及ぶアジアンアンバー。それら多くの原石に接することによって判明して来たことがあります。それは針葉樹系の琥珀と広葉樹系の琥珀とが混在しているということです。それは琥珀の質、カットする時の香り、磨き落とした琥珀粉の色、質感などで判断することができます。つまり環太平洋火山帯に属するアジア熱帯地域には多種多様な琥珀が眠っていることを意味しています。


カットや研磨の難しさ、少ない産出量が影響して、ドミニカやメキシコのブルーあるいはグリーンアンバーの影に隠れていたこれらアジアの琥珀(もちろんすべてがこのように美しく蛍光発光するわけではありません)、今後、コレクターを中心に熱い視線が注がれることでしょう。

幅 53.20 mm、長さ 68.50 mm、最大厚 30.70mm 310.10カラット
全面、究極の超精密ベルベットスキン仕上げ。
世界のブルーアンバー史に新たな1ページを加える希少な逸品。コレクターの方に心からお薦めいたします。
掲載した6枚の写真を含む13枚の写真をflickr photo streamにアップしました。
ご興味をお持ちの方は併せてご覧下さいますようご案内申し上げます。


この品は完売いたしました。

次回は同じ産地の、今回とほぼ似た傾向を持つ、小さめのペンダントトップ2点のリリースを予定いたしております。
虫や植物の化石を含んだタイプはその次になるのではないかと思います。
そろそろ午前4時。
一段落です。

 - 南アジアの琥珀