Twilight

白日の喧噪が薄らぎ万物がその形姿を背景に溶け込ませる日没時、 今日を振り返り、明日に思いを馳せる。
窓に明かりが灯り、会話が始まる。
明日も良い一日でありますように.......。
Stone cutter (鉱物研磨職人) Aquilax O

ロイストン15.10ct

      2016/12/13

ロイストン ターコイズ obata akira twilight

Laura C.Starwood

興味ある一冊の本。書名は「CUT AND POLISHED TURQUOISE」
いかにも素っ気ない書名ですが、アメリカのターコイズカッターが40年ほど前に個人で出版した小冊子です。機械に頼らず、ひたすら手作業だけでアリゾナとネバダ州で採掘された原石を磨き続けた壮絶な記録が綴られています。ページ数はわずか76ページ。
冊子を著した筆者の名前は「Laura C.Starwood」。筆者は女性です。

 

Lauraは学生時代鉱物について学び、やがてティファニー工房でストーンカッターとしての作業に従事、その後、故郷ネバダでターコイズについて学びながらカッターとして独立。独立しても下請け作業は一切拒否。アンティーク業を営む初老の男との間に二児を出産、離婚。
40歳を迎える頃、卓越した仕上げ技術がハリウッド女優や財界婦人の間で知られるようになるのですが(以上後書きによる)、冊子はその頃書かれています。

 

私は10年ほど前、アメリカのオークションカタログでLauraの名前を知りました。
スリーピングビューティのグラデーションネックレス。ネックレスのフロントトップは30mmほどの直径だったと記憶しています。
写真からもそのずば抜けた艶やかな美しさが伝わってきました。グラデーションのラインもかなり特異です。30mmからいきなり細くなる独特のスタイル。透明感ある磨き艶は他のターコイズ写真を優に凌駕してました。
業者の提示価格は3万ドルを超えていたと思います。カタログには制作点数は生涯二百数十点との断りもあったと思います。
寡作なカッターです。

This is not.Should more beautiful !

話を冊子に戻します。
ここで彼女は各鉱山別に原石の特質、それぞれの効果的な磨き方など、詳細に、あるいは箇条書きで伝えています。
種を明かせば、これが私の大切な教科書だということです。
繰り返し登場する言葉それは「This is not.Should more beautiful !」つまり、「これはそうではありません。もっと美しいはず!」。
Lauraは理想の美しさを求めて彷徨い、試行錯誤を繰り返す。常識的なカッターの考え及ばない様々な手法、材質材料、工具を試みては、さらなる磨きに挑戦します。そして「This is not.Should more beautiful !」。

そのような考え方、石に対するスタンスは私も全く同様、だと考えています。これはセールストークでも、自慢でもなく、石に対し、カット研磨という作業について考える基本そのものです。

ロイストン ターコイズ obata akira twilightでは今日リリースの「ロイストン15.10ct.」へと話を進めます。
このネバダ州オスカーウェレンド鉱山産のロイストンは、これまで試みたことのない手法で仕上げ磨きを施したものです。
これは確か一昨年、一度リリースしました。しかし何かが違う。どうしても納得できなかったわけです。その後、棚にしまったままでした。
最近、新たな手法が浮かび、いくつかのステ石で試行錯誤。USTREAMでの制作ライブも遮断。新たな手法がより理想に近づいた結果を得ることが可能なのかどうか、何度となく試みを重ねてみました。
納得の結果が得られたのは三日前。ロイストン ターコイズ obata akira twilightしかし仕上げ精度が向上したからっと言って、手放しで喜べないこともあります。
表面の平滑度、艶やかさ、色の鮮明度が増せば増すほど、微細な、じつに小さな小さな欠点が見えてきます。
今までは見えなかった、あるいは見えにくかった微細な欠点。それは根気で乗り越える以外、私は方法を知りません。ロイストン ターコイズ obata akira twilight昨夜、「これはいける!」ということでリリースすることになりました。

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